B2C-ECは”消費者向け”電子商取引です。
B2B-ECは”企業間”電子商取引です。
言葉だけですと、ほんの些細な違いに思えます。
では他に「B2C」と「B2B」では、どのような違いがあるのか、今回のシリーズは全2回に分けてお話していきます。
<買い方が違う>
B2C-ECで、買う人(消費者)は、そのタイミングで欲しいものを買いますし、それが本当に必要なものかどうかはあまり問題ではありません。
絶対に買わなければいけない必要不可欠なものの他に、可愛いもの、流行っているもの、広告に誘導されて何となく、など、感情赴くままに様々な買い物をしていきます。
そうなんです。
「衝動買い」という行動が一般消費者にはあるのです。
もちろん、明確な「目的買い」が基本的な買い物のスタンスだとは思いますけどね。
例えば、皆さまも次のような経験ありませんか?
もう昔という表現を使っても良いでしょう。
昔、ECサイトでものを買い始めた頃、店頭と違って、じっくり選んで、検索して、比較して、その上で購入するから、店舗と違って衝動買いの可能性が限りなく【ゼロ】に近くなって、より安心!!そう思っていたのも束の間、
最近は、店舗で買い物するより、ネットの方が衝動買いしている気がする!
という方、意外と多いんじゃないでしょうか?
もう一度言います、そうなんです。
「衝動買い!」
という購買行動が、一般消費者にはあるのです。しかし、
B2B-ECで、買う人(バイヤー・購入者・発注担当者)は、欲しいもの・必要なものを買いますが、「衝動買い」は、まずしません。
B2B-ECは、「目的買い」がほとんどです、100%と言っても良いのではないでしょうか。
B2C-ECと、B2B-EC、その「買い方」については、似ているようで全然似ていません。まさに「似て非なるもの」です。
そういえば、気になったのですが
「うちの会社は、材料や、資材、備品もろもろ、好きなように買って良いよ~!」
そうやって衝動買いをしても、上司は一切怒りませんし、予算の上限もありません。なんていう会社はこの世の中に存在しているのでしょうか?もし、そのような会社があれば是非ご連絡ください。一度取材にお伺いさせていただきますね。
<支払方法・決済方法が違う>
B2C-EC、いわゆる、ネットショップで買い物をする人(消費者)は、どういう支払方法・決済方法を使っているでしょうか?
代表的なのはやはり「クレジットカード」か「代引き」ですね。
それに加えて「後払い」というサービスを使って支払・決済する方法もメジャーになりつつありますね。
クレジットカードでいうと、VISA、MASTER、JCB、AMEX、DINNERS、この5大ブランドが付いているカードであれば、あらゆるところで使える。これが圧倒的な強みですね。
後払いでいうと、Paidy、NP後払い、アトディーネが有名ですね。また最近では、後払いワイド、というサービスもあるみたいですね。
代引きは、佐川急便、ヤマト運輸、そして、郵便局でしょうか。
そのような中で、この頃では代引きを敬遠するEC運営者もいるみたいです。
それは、商品購入時の支払い方法を代引きにして、商品が実際に到着したら、受け取り&支払いを拒否する、という正直、正当性に欠くような注文が非常に増えていることが関係しています。
冷蔵・冷凍の食品系は、いくら冷凍・冷蔵状態で、運送会社がしっかり保持しながら配達してくれているとはいえ、戻ってきた商品を再度、別のお客様の元へ新品の通常商品として配送する訳にはいかない、と考えるのが普通ですもんね。
となると、そもそもリスクが残る支払・決済方法である、「代引き」自体を採用しないという選択肢を選ぶECサイトが多くなるのも当然に思えます。
さて、B2B-ECではどうでしょうか?
注文をする法人の担当者(バイヤー・購入者)が要望する順番は、
①〆後の請求書による掛払い
②代引き
③法人クレジットカード
④個人クレジットカード
大体この順番でしょう。やはり元々の商慣習がベースになりますよね。
①の請求書後払いの決済・支払い方法で有名なのは、NP(エヌピー)掛け払い、やPortiaPAY(ポーシャペイ)や、後払いドットコム、などが有名ですね。
②の代引きは、やはりメジャーなのは、佐川急便と、ヤマト運輸、そして郵便局の3択でしょう。もちろん、他の物流会社さんも代引きサービスをやってらっしゃいます。
③の法人クレジットカードは、大企業の役員、部長クラスぐらいまででしたら、保有されている方が多いでしょうね。
しかし、そういう役職に付いている方たちが、ネット上の受発注システムを操作して、「仕入れ」「発注」の担当者になっていることはほぼ無いと思って良いでしょう。もちろん、ベンチャー企業や中小零細企業の場合は、そういう場合もあると思います。
では何故、「法人クレジットカードを広く一般従業員にまで普及させないのか?」という疑問にたどり着きますが、普及させない理由はもちろん存在しています。
「どこでも使えるのが逆に仇になる」
のだそうです。どういうことかと申しますと、一般社員に法人クレジットカードを持たせたら、不正が多発した、という事例があるからです。
例えば、導入時の状態としては、社員でも課長以上で、且つ使い方についてもルールを決めて導入。しかし、
・運用が始まると、イケないお店で使ってしまった。
・どうしても手持ちのお金がなくて、使ってしまった。(後で経費精算するから良いだろう、という軽い気持ちで)
など、という話をいくつも聞いています。
「使える場所が多すぎる」ということが、導入判断の弊害になるのは、法人クレジットカードぐらいじゃないですか。
④の個人クレジットカードは、①②③を使える環境にないため、自然に選択肢として残ったと考えるのが妥当でしょう。
ベンチャーや中小企業の社長・経営者自身の個人のクレジットカードであれば、経理上は「立替払い」になりますが、自分自身の会社ということを踏まえますと、立替金額や期間に関しても精神的な負担は少ないのかもしれません。
しかし、従業員や購買担当者が、その人の個人クレジットカードを使って仕入れなければいけない場合はどうでしょうか?
当然ですが、経費精算を拒否されないために、本当に会社の仕入・購買に必要なものかをしっかり確認してから購買行動をするはずです。
そして従業員が個人のクレジットカードで仕入・購買した場合には、会社で精算してくれるまでの「立替期間」の金銭的そして精神的負担は、少なからずあると考えています。従業員として会社を信頼して働いているとはいえ、それは決して気持ちの良い時間ではないですよね。
立替期間については、万一、個人のクレジットカードで購入した場合は、すぐに経費精算を行ってくれる会社であれば、それほど負担は無いかもしれませんが、クレジットカード請求の精算後にしか、経費精算をしてくれない会社もあります。そういう場合は、資金の負担もあるし、ちょっと大変ですよね。
また、精算をする際にもひと手間が生じます。クレジットカードの請求明細と、納品書と一緒に提出しないと、経費精算することができない会社もありますし、個人のクレジットカード明細の不要部分を黒塗りしなければいけなかったりと、手間だらけですね。(見られたくない場合ですけど)
結果的に、B2Bは、やっぱり請求書払い、掛払い、が便利で使いやすいというところに落ち着きそうです。
「B2B-ECには、こういう支払い方法もあるで!」ってご存知の方は、是非、こちらまで!
次回、『B2B-ECと、B2C-ECの違い②』では、担当者について、そして納品書・請求書の重要性について、また返品対応についてなどに注目した記事をアップする予定です。
ひきつづき皆さまのお役に立てれば幸いです。